2024年4月17日
2024年2月21日
2024年2月21日
制御理論を基盤として,分子サイバネティクス,分子ロボティクス,システム生物学に関する研究を行っています。
本研究室では、分子コンピューティング・DNAナノテクノロジー・制御理論・システム生物学・データサイエンスを融合し、生命システムの理解と社会課題の解決を目指しています。研究は大きく二つのテーマから構成されています。
第一のテーマは、DNA回路を用いてマイクロRNAなどの分子情報を処理し、がんなどの疾病の超早期診断や植物の健康診断技術の開発を行う研究です。
第二のテーマは、肝臓・筋肉・脂肪など複数臓器が関わる代謝制御を対象に、数理モデル・制御理論・データ解析を用いて生命システムの破綻原理を理解し、新しい医療へつなげる研究です。分子レベルから生体システムまでを横断する新しい学際研究を推進しています。
テーマ1:分子コンピューティング×マイクロRNAによる社会課題解決
マイクロRNA(miRNA)は、がんや疾患の状態を反映する重要な分子情報です。本研究ではDNAナノテクノロジーを用いてDNA回路(分子コンピュータ)を構築し、miRNAの存在を高感度に検出する技術の開発を目指しています。DNA回路は分子を入力として情報処理を行う化学反応ネットワークであり、複数のmiRNAを同時に判定する論理演算や分子記憶・増幅などの機能を持たせることができます。この技術を用いて、がんの超早期診断技術や植物病害の診断キットの開発を進めています。さらに、マイクロ流体デバイスとの融合による診断システムの構築や、スタートアップによる社会実装も視野に入れた研究を展開しています。
テーマ2:複雑臓器制御系の数理的理解と超早期精密医療への挑戦(MSテーマ)
生体は、肝臓・筋肉・脂肪など多くの臓器が相互作用する複雑な制御システムとして機能しています。本研究では、このような臓器間ネットワークのダイナミクスを数理モデルとデータ解析により理解する研究を行っています。特に、疾患発症直前に現れる分子ネットワークの変化を捉えるDNB(Dynamic Network Biomarker)解析や、代謝制御系の安定性を解析する制御理論、さらに平均場ゲーム理論などの数理手法を用いて、生命システムの破綻メカニズムを解明します。これらの研究を通じて、疾患の超早期診断や代謝制御の介入方法の開発など、新しい精密医療の基盤技術を創出することを目指しています。
生命は巨大な情報処理システムです。分子レベルではDNAやRNAが情報を担い、臓器レベルでは複雑な制御ネットワークが働いています。私たちは、制御理論を基盤とし、分子コンピューティングと数理科学を融合することで生命の情報処理原理を解き明かし、医療・農業・社会に新しい価値を創造する研究に挑戦しています。